飯田敏夫 理事長

 新年明けまして、おめでとうございます。本年が皆様にとりまして、良い年となることをお祈り申し上げます。

  昨年、日本国内においては、地震・津波に加えて原子力発電所の事故、台風による集中豪雨等様々な災害が続きました。また、世界的には政治・経済情勢が共に混沌とし、海運界における荷動きや収益にも大きな影響が出た一年でした。
  震災復興は少しずつではありますが、確実に進み始めています。この困難な状況を乗り越えていくために、皆で力を合わせ、復興のための努力を継続させなければなりません。また、今回の災害をとおし、自然の人間の能力を越えた力への対処と、危機管理が如何に重要であるかを改めて認識させられました。

  航海訓練所に於ける明るい話題としては、大成丸の代船建造が確実に前進する年となります。ここ数年、世界経済の中心が、欧米からアジアにシフトし、世界及び日本国内の海運界、船舶職員の養成スキームも大きく変わって来ています。航海訓練所として、船舶職員の養成スキームをどう変えていくのか、出来ることは何か、行わなければならないことは何か、主体的に考え、行動を起こす年となります。その一つとして、新しい練習船でどのような実習訓練を行うかの検討を進め、新たな実習訓練のあり方を作り出す作業が進められます。

  練習船においては単に船舶の運航技術を教えることだけでなく、社会において活躍できる人材を育成していくことが使命です。そのためには、海・船が人を育てる力を活用できる航海訓練所の特色を最大限に活用し、使命を達成することが、我々の目指す方向であると思慮します。

  実習生にシーマンシップを涵養するために、個々の職員が様々な場面でシーマンシップを発揮しているところを実習生に示しながら、航海訓練を実施することが最も良い教育訓練の一つと考えられます。そのためには職員各自がシーマンシップを正しく理解し、自分を高める努力を行い、一丸となって訓練に当たることが重要となります。

  船舶職員養成に於いて、関係機関との連携が求められていますが、練習船における実習訓練は、その入口においては教育機関との信頼関係の上で成り立っています。学校教育においては教育の機会に制限を加えない方向に進んでおり、職業選択においての障害は考慮でき難くなってきています。また、様々なコースから船舶職員となることが可能なように制度の見直しも図られ、その結果として練習船に多種・多様な実習生が乗船してくることとなり、実習訓練実施の困難性が増してきているのも現実です。
 また、教育機関において、より良い人材を集め・育て、海運界に送り出す努力もなされていることから、より良い人材を教育機関に集めるために関連機関との連携を強化し、航海訓練所として出来ることを推し進めることが、必要となっています。

  一方、平成24年度予算について、昨年末に閣議決定されていますが、その財源を見ると将来に渡り、非常に厳しいと言わざるを得ません。限られた財源を有効に活用することが求められています。航海訓練所における業務経費に関しても同様です。 船舶の安全運航と実習訓練に掛かる経費を如何に手当てするかが大きな課題となってきます。解答が直ぐには見出せないかもしれませんが、必ず見つけ出さなければ成りません。 困難な作業となりますが一歩、一歩進んで行くこととしますので、皆さまのご協力をお願いします。

平成24年1月1日  理事長
飯田敏夫